こんにちは、三木です。
私の診察室を訪れる患者さんの中には、原因不明の不眠や慢性的な頭痛、あるいは重い倦怠感に悩まされている方が多くいらっしゃいます。血液検査や画像診断をしても異常が見つからない。しかし、じっくりとお話を伺うと、その背後には「パートナーの不倫」という、深刻な精神的トラウマが隠れていることが少なくありません。
不倫は単なる「道徳的な問題」ではありません。それは、信じていた世界が崩壊する「急性ストレス障害」であり、放置すれば心身を蝕む「慢性的な疾患」へと繋がります。
今日は、不倫に直面したあなたが、どのようにしてその「心の毒」を解毒し、再び自分の人生の主導権を握るべきか。法的・心理的なリアリズムと、医学的な観点を交えて詳しくお話しします。
「離婚するために頑張っている」という言葉の医学的な嘘
不倫相手から「今はまだ家庭があるけれど、離婚するために頑張っている」「妻(夫)とは冷え切っている」と言われ、その言葉を信じて待ち続けている方がいます。しかし、医学的、あるいは行動心理学的な観点から言えば、この言葉のほとんどは「嘘」か「その場限りの逃避」です。
1. 脳内麻薬「ドーパミン」の罠
不倫という非日常的な関係において、脳内では快感物質であるドーパミンが大量に分泌されます。相手は、その刺激を維持するために「心地よい未来(離婚後の生活)」を語ります。しかし、それはあくまで「刺激」を継続するためのツールであり、実行を伴う「意志」ではないことがほとんどです。
2. 現状維持バイアスとエネルギーの消費
人間には、現在の状況を維持しようとする強力な「現状維持バイアス」が働きます。実際に離婚の手続きを進めるには、膨大な精神的エネルギーと社会的・経済的なリスクを伴います。もし、本当に離婚する意志があるのなら、言葉で「頑張っている」などと言う前に、既に具体的かつ事務的な行動(弁護士の選任や別居など)が完了しているはずなのです。
3. 医師が診る「依存」の構造
「離婚する」と言いながら行動しない相手を信じてしまう側も、一種の共依存状態に陥っている場合があります。「自分が彼(彼女)を救ってあげなければ」という思いは、あなたの自己肯定感を一時的に満たしますが、実態は「搾取」に近い関係です。このストレスは、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を招き、あなたの免疫力を著しく低下させます。
法的介入がもたらす「精神的デトックス」の効果
不倫問題において、感情的な話し合いだけで解決しようとするのは、医学的には「治療薬なしで重症の感染症に挑む」ようなものです。ここで重要になるのが、弁護士を通じた「法的介入」という処置です。
なぜ話し合いは無意味なのか
不倫をしている当事者たちは、責任逃れをするために「お金がない」「合意の上だった」「相手が独身だと言った」といった、防衛本能による言い逃れを繰り返します。これを真正面から受け止めてしまうと、あなたの精神はさらに摩耗し、適応障害や抑うつ状態を悪化させます。
証拠収集は「客観性」というワクチン
探偵や自力での証拠収集は、精神的に非常に苦しい作業です。しかし、客観的な証拠(写真、録音、メールの履歴など)を揃えることは、裁判で勝つためだけでなく、あなたの心を守るための「ワクチン」になります。「自分の妄想ではない。相手が悪いのだ」という事実を客観的に突きつけることで、歪められた自己像を修正できるからです。
慰謝料請求という「縁切りの儀式」
相手の家庭を壊すような行為(不倫)をした側は、民法上の不法行為責任を負います。
不倫相手が逃げ回っている場合、最も手っ取り早く、かつ確実に関係を断ち切る方法は、**「不倫相手を提訴すること」**です。
法的な訴えを起こされると、相手は現実のペナルティ(金銭的損失や社会的信用)に直面します。多くのケースでは、ここで「この遊びは割に合わない」と判断し、蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。これが結果として、あなたへの二次被害を食い止める最善の策となるのです。
慰謝料と法的責任の相場(参考データ)
日本の法制度において、不倫(不貞行為)に伴う慰謝料の相場は、以下のようになっています。もちろん、婚姻期間や子供の有無、不倫の期間によって変動します。
| 状況 | 慰謝料の目安 | 医学的・精神的アドバイス |
| 不倫が原因で離婚した場合 | 200万円 〜 300万円 | 経済的基盤を確保し、生活環境を一新することが回復への近道です。 |
| 離婚はせず、別居もしていない場合 | 50万円 〜 100万円 | パートナーとの関係修復を目指すなら、カウンセリングの併用を推奨します。 |
| 相手が独身だと偽っていた場合(貞操権侵害) | 数十万円程度(低い場合が多い) | 相手を追い詰めることに執着せず、自分の心のケアに投資を切り替えてください。 |
結婚詐欺的行為と「独身偽装」の冷徹な現実
「相手に外国に家庭があることを隠されていた」「独身だと信じていたのに実は既婚者だった」という相談も後を絶ちません。これは非常に悪質な行為ですが、日本の法律上、これを「詐欺」として高額な賠償を勝ち取るのは容易ではありません。
1. 賠償額の低さ
裁判例を見ても、独身だと偽って交際していたことに対する慰謝料は、10万円単位など、非常に低い金額に留まることが多いのが現実です。
2. 逆に訴えられるリスク
たとえあなたが「知らなかった」としても、既婚者と性的関係を持ったという事実は変わりません。相手の配偶者から見れば、あなたは「不倫相手」であり、逆に慰謝料を請求される(提訴される)リスクさえあります。
3. 医学的見解:執着を捨てる勇気
「騙されたことが悔しい」「何としても謝らせたい」という執念は、あなたの脳を「戦闘モード」に固定し、自律神経のバランスを崩し続けます。裁判で少額の賠償金を得るために、数年の歳月と多大なストレスをかけることは、あなたの「健康寿命」を削る行為です。
もし法的な救済が難しいと判断されたなら、その相手を「バカな人だった」と切り捨て、一刻も早く思考から排除することが、最も高度な自己防衛となります。
他人のその後を調べない:脳の健康を守る「情報遮断」の重要性
不倫発覚後、あるいは別れた後、相手やその配偶者が「今どのような生活を送っているか」をSNSや身辺調査で調べようとする方がいます。これは、医学的に最も推奨されない行為の一つです。
1. 負の感情の増幅(反芻思考)
相手の幸福そうな様子を見れば「なぜあんな奴が」と激しい怒りが湧き、逆に相手が不幸であれば「もっと不幸になればいい」という呪いの感情が生まれます。どちらの結果であっても、あなたの脳内ではストレスホルモンが分泌され続け、傷ついた神経細胞の修復(リカバリー)が妨げられます。
2. 「機会損失」というコスト
相手のことを考える時間は、あなたが自分の幸福のために使えるはずの時間です。身辺調査に50万、100万という大金を投じても、得られるのは「一時的な溜飲」か「さらなる絶望」です。そのお金と時間は、あなたの美容、趣味、資格取得、あるいは信頼できる友人との楽しい食事に使うべきです。
3. 脳の「忘却」という治癒能力を信じる
脳には、不要な記憶や苦痛を薄れさせる自然な治癒能力があります。しかし、相手の情報を調べ続けることは、その傷口を毎日自分で広げているのと同じです。完全に情報を遮断することで、脳は初めて「癒やしのフェーズ」に入ることができます。
三木先生からの温かい励まし:あなたは一人ではありません
不倫の被害に遭った時、あなたは「自分には価値がないのではないか」「自分の何が悪かったのか」と自分を責めてしまうかもしれません。しかし、断言します。裏切りは、裏切った側の「人格的欠陥」の問題であり、あなたの価値とは何の関係もありません。
今は、深い霧の中にいるような感覚でしょう。朝が来るのが辛く、食事の味もしないかもしれません。それは、あなたの心が懸命に「異常な事態」に適応しようとしている正常な反応です。
まずは、自分の身体を労ってください。
- 温かいものを食べること。
- 質の良い睡眠をとること(必要であれば、医師を頼って睡眠環境を整えてください)。
- 自分を責める声を止め、プロ(弁護士やカウンセラー)に問題を委ねること。
不倫という心の毒を解毒するプロセスは、あなたが「自分を一番大切にする」ことを学ぶプロセスでもあります。
あなたは、再び自信を持って、太陽の下を歩く権利を持っています。
焦らなくて大丈夫です。一歩ずつ、少しずつ、自分の人生を取り戻していきましょう。私はいつでも、あなたの健康と幸福を願っています。
