貯金ゼロは「大人の発達障害」のサインかも?実行機能の低下を防ぎ、家計を正常化させるための医学的提言

貯金ゼロは「大人の発達障害」のサインかも?実行機能の低下を防ぎ、家計を正常化させるための医学的提言

こんにちは。皆さんの「かかりつけ医」、三木です。

「一生懸命働いているのに、なぜか口座の残高が増えない」
「自分では節約しているつもりなのに、月末になるといつもピンチ」
「何にお金を使っているのか、自分でもよく分からなくなってきた……」

私の診察室を訪れる患者さんの中には、身体の不調だけでなく、こうした「お金が貯まらない」というストレスからくる不安や不眠を抱えている方が少なくありません。実は、「貯金ができるかできないか」は、単なる根性の問題ではなく、私たちの脳の仕組みや心理的な習慣、さらには身体のコンディションと深く結びついているのです。

今回は、医学的な視点から「お金が貯まらない人の共通点」を徹底的に解剖し、脳を「貯金体質」に書き換えるための具体的な解決策をお話ししましょう。少し長いお話になりますが、あなたの人生を豊かにするための「心のサプリメント」として、ぜひ最後までお付き合いください。

1. なぜ「安物買いの銭失い」が脳を疲れさせるのか

よく「安いから」という理由で買いだめをしたり、支出を先送りにしたりする方がいます。実は、これには脳の「報酬系」という仕組みが関わっています。

1-1. 安売りという「ドーパミン」の罠

「12月から値上げされるから、今のうちに買っておこう」「ブラックフライデーだから、欲しかったものを安く手に入れよう」。こうした「お得感」を感じたとき、脳内では快楽物質であるドーパミンが放出されます。

しかし、このドーパミンは「手に入れるプロセス」で最も分泌されるため、実際に商品が届き、ストックが増える頃には快感は薄れています。結果として、必要のない洗剤や日用品が山積みになり、結局は管理コスト(時間や場所)を奪われ、トータルでは損をしてしまう。これが「貯金ができない脳」の第一歩です。

1-2. 支出の先送りは「認知の歪み」

クレジットカードの分割払いやリボ払いを選択し、「今月は支払いが少ないから大丈夫」と考えるのは、未来の自分に借金を押し付けている状態です。
医学的には、これは**「時間割引」**と呼ばれる心理現象です。脳は、遠い未来の大きな利益(将来の100万円)よりも、目先の小さな快楽(今すぐ買える1万円のバッグ)を過大評価してしまうのです。特にリボ払いは、金利という形であなたの将来の自由を奪い去る、最も避けるべき「心の病」のようなものです。

2. コンビニとスタバに潜む「決断疲れ」の正体

「毎日コンビニに寄ってしまう」「仕事帰りにスタバで限定フラペチーノを頼むのが日課」。こうした小さな出費を、私たちは「自分へのご褒美」と呼びがちですが、医学的に見ると別の側面が見えてきます。

2-1. 決断疲れ(ディシジョン・ファティーグ)

人間が1日にできる「正しい決断」の回数には限界があります。仕事で疲れ果てた夕方、脳は**「決断疲れ」**の状態に陥ります。すると、理性的な判断を司る「前頭前野」の働きが鈍くなり、原始的な欲求が暴走しやすくなります。
「まあいっか、今日くらい」「限定品だし」という言い訳は、脳が疲れている証拠なのです。

2-2. ラテ・マネーの積算

ここで、具体的な数字を見てみましょう。いかに小さな出費が大きな差を生むか、表にまとめました。

項目単価頻度年間の総額
自販機のジュース160円毎日(月20日)38,400円
コンビニのついで買い400円週3回62,400円
スタバのフラペチーノ700円週1回36,400円
合計  137,200円

もし、これらを10年、20年と続けたらどうなるでしょうか? 13万7千円あれば、最新のスマートフォンを買い替えることも、家族で温泉旅行に行くこともできます。小さな習慣が、あなたの「大きな夢」を食いつぶしている可能性があるのです。

3. 「散らかった部屋」は「貯まらない脳」の写し鏡

お金が貯まらない人の特徴として、「部屋が汚い」「冷蔵庫の中が整理されていない」という点がよく挙げられます。これは、脳の実行機能の低下を示唆しています。

3-1. 在庫管理ができない前頭葉

冷蔵庫の中が汚い人は、自分が何を持っているかを把握できていません。その結果、同じ調味料を二つ買い、賞味期限切れの食材を捨てることになります。これはお金をゴミ箱に捨てているのと同じです。
整理整頓は、単なる片付けではなく「情報の優先順位付け」です。脳がクリアな状態であれば、無駄な買い物は自然と減っていきます。

3-2. 物への依存と寂しさ

また、物を溜め込んでしまう背景には、精神的な**「寂しさ」や「埋まらない心の隙間」**が隠れていることもあります。物を買うことで一時的に心を満たそうとする行為(コンパルシブ・バイイング)は、根本的なストレス解決にはなりません。

4. 低年収とスキルアップのジレンマ:脳の「現状維持バイアス」

「給料が低いから貯金ができない」と嘆きながら、転職やスキルアップのための勉強をしない人がいます。これには脳の**「現状維持バイアス」**が強く働いています。

4-1. 変化を恐れる本能

私たちの脳は、本能的に「今のまま」を維持することを好みます。新しいことを学び、環境を変えることは、脳にとって大きな負荷(ストレス)だからです。
しかし、物価が上がり、税金が増える現代において、「現状維持」は実質的な「衰退」を意味します。

4-2. 勉強をしないリスク

貯金ができる人は、自分を「資産」として捉え、自己投資を惜しみません。一方で、貯まらない人は、娯楽にはお金を使いますが、将来の収入を増やすための学び(読書や資格取得)には「お金がない」と言い訳をします。これは、長期的には最も「高くつく」選択なのです。

5. 「明日死ぬかもしれない」という思考停止を解く

「人生何が起こるか分からないから、今を楽しんだ方が勝ちだ」。こうした刹那的な考え方は、一見ポジティブに見えますが、実は**「将来を考えることへの逃避」**であることが多いのです。

5-1. 健康寿命と資産形成

医師として多くの人生の最期を見てきましたが、お金の心配がない老後と、常に不安に怯える老後では、心身の健康状態に天と地ほどの差が出ます。
「大金を貯めてガンで死んだら損だ」と言う人がいますが、逆に「お金を使い果たして長生きしてしまったとき」の苦しみを想像したことはあるでしょうか。

5-2. NISAや投資への心理的ハードル

今では「NISA」などの制度が整い、少額から誰でも資産形成ができる時代になりました。しかし、知識がないことを理由に「ギャンブルだ」と決めつけ、挑戦しないのは、脳の**「確証バイアス(自分の信じたい情報だけを集める癖)」**のせいです。正しい知識は、不安という「心の病」を治す一番の薬になります。

6. 三木医師が提案する「貯金体質への3つの処方箋」

さて、ここまでお金が貯まらない脳の仕組みをお話ししてきましたが、どうすれば変えられるのでしょうか。医学的なアプローチを取り入れた処方箋を提案します。

処方箋①:オートメーション化(意志の力を頼らない)

脳の「意志の力(ウィルパワー)」は消耗品です。

  • 先取り貯金:給料が入った瞬間に、別口座に移す。
  • 積立投資:設定さえすれば、脳が忘れていても資産は増えます。
    「余った分を貯金する」という考えを捨て、脳に「最初からそのお金はなかった」と思わせるのがコツです。

処方箋②:デジタル・デトックスとキャッシュレス管理

スマホで簡単に「ポチる」行為は、お金を使っている実感を麻痺させます。

  • 家計簿アプリの活用:全ての支出を可視化し、脳にフィードバックを与える。
  • 買い物かごに入れて24時間待つ:衝動をクールダウンさせ、前頭葉に判断の猶予を与える。

処方箋③:睡眠とセロトニンの強化

意外かもしれませんが、**「たっぷり眠ること」**は最高の節約術です。
睡眠が不足すると、脳内のセロトニン(幸福感の源)が不足し、その不快感を補うために暴飲暴食や無駄遣いが増えます。心身が満たされていれば、外的な刺激(物)に頼らなくても幸せを感じられるようになります。

結びに:お金の健康は、心の健康です

貯金ができるようになることは、単に数字が増えることではありません。それは、**「自分自身をコントロールできている」という自信(自己効力感)**を手に入れることです。

もし今、あなたが「お金が貯まらない」と悩んでいるなら、それはあなたが「ダメな人間」だからではありません。単に、脳が古い習慣に縛られているだけなのです。

まずは今日、コンビニに寄るのを1回だけ我慢してみてください。あるいは、財布の中のレシートを整理することから始めてみてください。その小さな一歩が、脳の回路を少しずつ変え、あなたの未来を確実に明るいものにしていきます。

金融の健康は、心身の健康を支える大きな柱です。あなたが、不安のない穏やかな毎日を過ごせるよう、私はいつも診察室から応援しています。

三木医師より


瘋狂設計師 Chris
三木医師
総合診療科医・三木が築く**「健康防衛砦」。病気から身を守る最新医療の知識と、体を内側から強くする漢方・美容の知恵を公開。ゆるぎない生命力**の土台を共に作り上げます。