【医師警告】薬を飲んでも血圧が下がらない?その原因は「睡眠」にあり!命を守る“薬に頼らない”熟睡法

【医師警告】薬を飲んでも血圧が下がらない?その原因は「睡眠」にあり!命を守る“薬に頼らない”熟睡法

こんにちは、総合診療科医の三木です。

日々の診療の中で、患者さんからよくこんな悩みを打ち明けられます。

「先生、血圧の薬を真面目に飲んでいるのに、なかなか数値が下がらないんです」

「最近、寝ても疲れが取れなくて……年のせいでしょうか?」

「痩せなきゃいけないのは分かっているけど、食欲が止まらないんです」

もし、あなたが今、この画面の前で「それ、私のことだ」と思ったなら、この記事はあなたのためのものです。

実は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、そして痩せにくい体質や日中の強烈な眠気。これらすべての根底に、**「睡眠」**という巨大な問題が潜んでいる可能性が極めて高いのです。

今日は、薬だけに頼らず、根本から健康を取り戻すために絶対に知っておくべき「睡眠と病気」の真実について、少し踏み込んでお話しします。


薬を飲んでも血圧が下がらない本当の理由

「高血圧ですね。お薬を出しておきましょう」

病院でそう言われて、何年も降圧剤を飲み続けている方は少なくありません。もちろん、薬は大切です。しかし、薬を飲んでもなかなか血圧が安定しない、あるいは薬の量がどんどん増えていく……そんな経験はありませんか?

実は、高血圧の原因が「睡眠中の呼吸」にある場合、いくら血圧の薬を飲んでも根本解決にはなりません。

想像してみてください。夜、あなたが眠っている間、もし呼吸が止まっていたらどうでしょう?

体は酸素不足(酸欠)になり、脳は「死んでしまう!」とパニックを起こします。すると、酸素を全身に巡らせようとして、心臓は必死にポンプを動かし、血圧を急上昇させます。

本来、睡眠中は副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスして血圧も下がるはずの時間です。それなのに、呼吸が止まることで交感神経が興奮し、毎晩毎晩、心臓にマラソンのような負担をかけ続けているとしたら?

これで血圧が下がるわけがありませんよね。

私が診てきた患者さんの中にも、睡眠の問題を解決した途端、あんなに下がらなかった血圧が正常化し、薬が不要になった方が何人もいらっしゃいます。「薬が効かない」のではなく、「原因が別の場所にあった」のです。

あなたは大丈夫?「隠れ睡眠負債」チェック

ここで、あなたの睡眠リスクをチェックしてみましょう。特に「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、太っている人だけの病気だと思われがちですが、それは大きな誤解です。日本人は顎が小さい骨格の人が多いため、痩せていてもリスクがあります。

以下の項目に当てはまるものはありますか?

チェック項目具体的な症状・リスク
いびき家族やパートナーから「いびきがうるさい」「時々呼吸が止まっている」と言われたことがある。
夜間の覚醒夜中にトイレに行きたくて何度も目が覚める(頻尿)。
日中の眠気会議中や運転中、食後に強烈な眠気に襲われる。
起床時の不調朝起きたとき、頭痛がする。口の中がカラカラに乾いている。
体型の変化昔より太った。特に首回りに肉がついた。逆に、急激に痩せたのに体調が悪い。
見た目の変化目の下のクマが消えない(アレルギー性鼻炎だと思っていたら、実は酸欠によるものの可能性も)。

もし、これらに複数当てはまり、かつ「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」などの診断を受けている場合は、一度立ち止まって考えてください。

その病気は、睡眠呼吸障害という氷山の一角かもしれません。

命を縮める「寝酒」の罠

「眠れないから、寝酒を一杯……」

これを習慣にしている方、医師として非常にはっきり申し上げます。今すぐやめてください。それは自殺行為に近いものです。

アルコールには確かに鎮静作用があり、一時的に寝つきは良くなるかもしれません。しかし、それは「眠っている」のではなく、脳を麻痺させて「気絶させている」状態に近いのです。

さらに恐ろしいのは、ここからです。

  1. 筋肉の弛緩

    アルコールは喉や舌の筋肉を緩めます。すると、重力で舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道を塞ぎます。普段いびきをかかない人でも、お酒を飲むといびきをかくのはこのためです。もともと無呼吸の気がある人が飲酒すれば、無呼吸の頻度と時間は劇的に悪化します。

  2. 睡眠の質の低下

    アルコール(エタノール)が体内で分解されると「アセトアルデヒド」という毒性のある物質に変わります。これが交感神経を刺激し、心拍数を上げ、体温を上昇させます。結果、睡眠の後半で覚醒作用が働き、夜中に目が覚めたり、浅い眠りが続いたりすることになります。

寝酒は「飲鴆止渇(いんちんしかつ)」、つまり喉の渇きを癒すために毒を飲むようなものです。睡眠薬代わりにお酒を飲むことは、百害あって一利なしと心得てください。

薬を使わず「最高の睡眠」を手に入れる処方箋

では、どうすれば薬に頼らず、質の高い睡眠を手に入れられるのでしょうか?

高価な枕を買う前に、まずはご自身の行動を見直してみましょう。キーワードは**「深部体温」**です。

人間は、体の中心の温度(深部体温)が下がるときに眠気を感じます。このリズムを意図的に作ることが重要です。

1. 運動は「いつ」やるかが命

「仕事終わりの夜にジムで汗を流しています」という方。実はそれ、逆効果かもしれません。

夜遅くに激しい運動をすると、交感神経が高ぶり、体温が上がりすぎて眠れなくなってしまいます。

睡眠改善のための運動には、**「3つの鉄則」**があります。

  • 日中にやる(太陽が出ている時間に)
  • 規則的にやる(週末の寝だめや、たまの運動ではなく毎日コツコツ)
  • 有効な強度でやる(深部体温が0.5度上がる程度)

おすすめは「夕方(16時〜17時頃)の早歩き散歩」です。この時間は人間の体温が最も高くなる時間帯。ここでさらに体温を少し上げておくと、夜に向けて急激に体温が下がる落差が生まれ、強力な入眠スイッチが入ります。

2. 夕食のタイミングと内容

寝る直前の食事は胃腸を働かせ、深部体温を下げにくくします。就寝3時間前には食事を済ませましょう。また、カフェインはもちろん、辛いものなどの刺激物も夜は控えるのが賢明です。

それでも改善しない場合の「医療的アプローチ」

生活習慣を見直しても、

「いびきが止まらない」

「日中の眠気が異常だ」

「血圧が下がらない」

そんな場合は、迷わず専門の医療機関(睡眠外来や耳鼻科の睡眠専門医)を受診してください。

なぜなら、**睡眠時無呼吸症候群は、物理的に気道が塞がっている「構造上の問題」**であることが多いからです。これは気合いでは治りません。

CPAP(シーパップ)療法

寝ている間にマスクを装着し、空気を送り込んで気道を広げる治療法です。「あんな機械をつけて寝るなんて」と抵抗感を持つ方もいますが、使用した翌朝の劇的な目覚めの良さに感動し、手放せなくなる患者さんが大勢います。

何より、CPAPを使うことで血圧が下がり、心臓病や脳卒中のリスク(突然死のリスク)を回避できるというエビデンスは世界中で確立されています。

外科的手術という選択肢

CPAPがどうしても合わない、あるいは根本的に喉の構造を治したいという場合は、手術という選択肢もあります。ただし、単に扁桃腺を切ればいいというものではありません。

鼻、喉、舌の根元、骨格。どこが閉塞の原因なのかを精密に診断できる、睡眠外科の経験豊富な医師に相談する必要があります。「レーザーで焼くだけ」といった簡易的な手術で終わらせず、しっかりとした検査を受けることが重要です。


最後に:睡眠は「最強の予防医学」

私が総合診療科医として多くの患者さんを診てきて確信していることがあります。

それは、**「睡眠を制する者が健康を制する」**ということです。

高血圧も、糖尿病も、肥満も、メンタルの不調も。

そのすべての背景に、睡眠の問題が隠れています。

「たかが睡眠」と侮らないでください。睡眠不足や無呼吸を放置することは、毎日少しずつ自分の寿命を削っているのと同じです。

今日からできること。

それは、お酒を控えてみること、夕方に少し歩いてみること、そして「もしかして?」と思ったら専門医のドアを叩くことです。

あなたが今夜、深く穏やかな眠りにつき、明日スッキリと目覚められること。

それが、あなたの10年後の健康、そして命を守ることに繋がります。

三木 拝


瘋狂設計師 Chris
三木医師
総合診療科医・三木が築く**「健康防衛砦」。病気から身を守る最新医療の知識と、体を内側から強くする漢方・美容の知恵を公開。ゆるぎない生命力**の土台を共に作り上げます。