「喉の詰まり」を放置していませんか?その違和感、実は胃酸が肺を溶かしているサインかもしれません。

「喉の詰まり」を放置していませんか?その違和感、実は胃酸が肺を溶かしているサインかもしれません。

みなさん、こんにちは。三木(Miki)です。

最近、こんな経験はありませんか?
「喉に何かが詰まっている気がするけれど、耳鼻科では異常なしと言われた……」
「朝起きると、天井がグルグル回るようなめまいがする……」

これらの症状、一見すると「風邪かな?」「疲れかな?」と思いがちです。しかし、実はその背後に、あなたの命を脅かしかねない「意外な原因」が潜んでいることがあるのです。

今日は、私たちの身近に潜む「見逃しやすい3つの病気」について、実際の症例を交えながら詳しく解説していきたいと思います。


1. 喉の違和感、実は「胃酸の逆流」が犯人?

50代の女性Aさんのケースをお話ししましょう。
Aさんは長年、喉に何かが詰まっているような違和感に悩まされていました。「喉に魚の骨でも刺さったのかしら?」と思い、耳鼻科を受診しましたが、異常なし。しかし、違和感は消えません。

喉の異物感と「逆流性食道炎」

実は、Aさんの喉の違和感の正体は**「胃酸」でした。
胃酸が食道へ逆流し、さらに喉まで上がってくることで、喉の粘膜が焼けただれ、異物感や声のかすれ、咳といった症状を引き起こしていたのです。これを「逆流性食道炎」または「胃食道逆流症(GERD)」**と呼びます。

胃酸が肺を溶かす?「誤嚥性肺炎」の恐怖

さらに恐ろしいことに、Aさんの場合、胃酸の逆流は食道だけにとどまらず、にまで影響を及ぼしていました。
特に就寝中は、横になることで胃酸が逆流しやすくなります。Aさんは寝ている間に、無意識のうちに胃酸を含んだ胃液を微量ずつ吸い込んでしまっていたのです。

胃酸は強力な酸性(pH1〜2)です。それが肺に入れば、当然、肺の組織は激しい炎症を起こします。これを**「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」**と呼びます。Aさんの場合、喘息のような症状や繰り返す風邪も、実はこの胃酸による肺のダメージが原因だったのです。

対処法:生活習慣の見直しを

逆流性食道炎を防ぐためには、以下の生活習慣を心がけましょう。

  • 食べてすぐ横にならない: 食後2〜3時間は起きているようにしましょう。
  • 左側を下にして寝る: 胃の形状的に、左側を下にすると逆流しにくくなります。
  • カフェインや脂っこいものを控える: 胃酸の分泌を促進する食品は控えめに。

2. 恐怖の胃カメラ体験から学ぶ「自分を知ること」の大切さ

次に、胃カメラ検査での「予期せぬトラブル」についてお話しします。

「麻酔アレルギー」と「喉の反射」

胃カメラ検査では、喉の麻酔スプレーを使用するのが一般的です。しかし、ごく稀にこの麻酔薬に対して過敏反応(アナフィラキシー様症状)を起こし、喉が腫れて呼吸困難になる方がいらっしゃいます。

また、生まれつき「嘔吐反射」が非常に強い方もいます。喉に器具が入ると、激しく「オエッ」となってしまう反射です。
この反射が強すぎると、検査中に胃の内容物を吐き戻してしまい、先ほどお話しした「誤嚥性肺炎」を引き起こすリスクが高まります。

自分を守るためにできること

もし、過去に歯科治療や内視鏡検査で「麻酔で気分が悪くなった」「激しく吐き気がした」という経験がある場合は、必ず事前に医師に伝えてください。
現在は、鎮静剤を使って眠っている間に検査を行う「鎮静下内視鏡検査(無痛胃カメラ)」も普及しています。無理をせず、自分に合った方法を選択することが、安全な検査への第一歩です。


3. その「めまい」、本当にただの疲れですか?

最後に、寒暖差の激しい季節に増える「めまい」についてです。

「中枢性」と「末梢性」の見極め

めまいは大きく分けて、脳に原因がある**「中枢性(ちゅうすうせい)」と、耳(内耳)に原因がある「末梢性(まっしょうせい)」**の2つがあります。

  • 末梢性(耳が原因): メニエール病や良性発作性頭位めまい症など。目が回るような回転性のめまいが多いですが、命に関わることは稀です。
  • 中枢性(脳が原因): 脳梗塞や脳腫瘍など。フワフワするような浮動性のめまいや、手足のしびれ、ろれつが回らないといった症状を伴うことが多く、緊急性が高いです。

「聴神経腫瘍」という隠れた爆弾

50代女性のBさんは、ある朝突然、激しい回転性のめまいに襲われました。当初は耳鼻科で「前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)」と診断されましたが、薬を飲んでも一向に良くなりません。

詳しく検査をしたところ、Bさんの脳には**「聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)」**という良性の腫瘍が見つかりました。この腫瘍が、聴神経や平衡感覚を司る神経を圧迫していたのです。
幸い、早期発見できたため「ガンマナイフ」という放射線治療で事なきを得ましたが、放置していれば腫瘍が大きくなり、顔面麻痺や歩行障害、最悪の場合は命に関わる事態になっていたかもしれません。

10秒でできる!脳の異常セルフチェック

「ただのめまいかな?」と迷ったら、以下の簡単なテストを試してみてください。

  • 指鼻試験: 人差し指で自分の鼻の頭を触り、次に目の前にある目標物(他人の指など)を触る。これをスムーズに繰り返せるか確認します。もし指が震えたり、狙いを外したりする場合は、小脳に異常がある可能性があります。
  • 閉眼足踏み試験: 目を閉じてその場で50歩足踏みをする。目を開けた時に、元の位置から大きく移動していたり、回転していたりする場合は、平衡機能に異常がある可能性があります。

結びに:違和感は体からのメッセージ

「喉の詰まり」「胃の不快感」「めまい」。
これらは日常よくある症状ですが、その裏には「逆流性食道炎」「誤嚥性肺炎」「脳腫瘍」といった重大な病気が隠れていることがあります。

「いつものことだから」「少し休めば治るだろう」と自己判断せず、症状が長引く場合や、いつもと違う違和感を感じた場合は、早めに専門医を受診してください。
早期発見・早期治療こそが、あなたとあなたの大切な人の未来を守る鍵となります。

どうぞ、ご自身の体の声に耳を傾けてあげてくださいね。


瘋狂設計師 Chris
三木医師
総合診療科医・三木が築く**「健康防衛砦」。病気から身を守る最新医療の知識と、体を内側から強くする漢方・美容の知恵を公開。ゆるぎない生命力**の土台を共に作り上げます。